情報活用のビジョン 連載第200回

本誌より3回遅れになったが、本連載も200回の大台に達した。前身にあたる月刊「晨(あした)」での、情報公開及び個人情報保護の連載は計50回あった。それらを合わせると250回、20年以上にわたる長期の連載コラムだ。いつも締切りをすぎる遅筆の自分を辛抱強く待ち、支えてくださった編集部の皆さまに、この場を借りて深く感謝したい。そして、読者の皆さまには、本連載テーマについて、過去を振り返り、現在を見つめ、未来を展望するわがままをお許しいただきたい。

AI利用への懸念 連載第199回

AI(人口知能)が注目を集めている。過去2回のブームがあったが、今回の第3次ブームは深層学習(ディープラーニング)の登場が背景にある。人間の脳を模倣した深層学習の能力は高く、将棋や囲碁で名人を打ち負かした実力は驚異的だ。単なる一時的なブームではなく、AIによって人間や社会のあり方が大きく変わる可能性が高い。AIが人間を超えるとされるシンギュラリティ(技術的特異点)は45年だという。自治体もAIと無縁ではいられない。

知は誰のものか 連載第198回

いつのころからか知的財産という言葉が使われるようになり、あっと言う間に社会に広がり、いまや「知財」という略語を含めて、その意味を誰もが知っている。知的財産基本法によれば、知的財産権とは「特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権」等をいう。このうち情報公開制度との関係で特に問題になるのが著作権だ。日本で初めて著作権が保障されたのは1868年の出版条例だという。知は誰のものか。この古くて新しい問題を考えてみたい。

条例と法律との調整 連載第197回

改正された行政機関個人情報保護法(以下、「改正法」)が17年5月30日に施行された。これを前にした5月19日、総務省は「個人情報保護条例の見直しについて(通知)」(以下、「通知」)という文書を発出した。あて先は都道府県と政令指定都市だが、特別区、市町村、一部事務組合、広域連合にも都道府県を通じて届いている。「通知」の内容は各所で紹介され周知の事実だ。これをどのように理解し、条例と法律との調整をはかるべきなのだろうか。

政治過程の公開 連載第196回

今回の解散総選挙も野党の離合集散も、大義を欠いた点で同罪である。いずれも自己都合的であり、主権者不在だといわざるを得ない。こうした茶番劇を見せつけられて、政治に対する関心をもてと言われても難しい。もはや政治には夢も希望もなく、不平不満の声をあげることすらもバカバカしい。そんな気分がまん延することの危うさは十分に理解している。しかし、なかなか活路を見出せずに途方に暮れている。

教員処分歴の共有化 連載第195回

わいせつ事件で過去に処分を受けた教員が、その事実を隠して別の自治体で採用され、再び事件を犯す例が後を絶たないという。同様の事件を防ぐために、教員処分歴の共有化を進める仕組みを文部科学省が検討していることを、新聞各紙が一斉に報道した。子どもを守るという観点から、これを歓迎する意見が多いが、犯罪者の個人情報保護や更生という観点からは異論もある。また、この問題は、前歴者を含む少数者の排除と包摂という社会のあり方のかかわる議論も含んでいる。

記録と記憶の消失 連載第194回

学校法人加計学園による獣医学部新設問題の疑惑が、なかなか解明されない中で内閣改造が行われた。支持率の低下に歯止めはかかったが、依然として不支持率は高い。不支持の理由として「首相を信用できない」をあげる人が多いという。疑惑を持たれている事柄について、包み隠さず事実を明らかにすることが信用回復の鍵である。首相は内閣改造よりも先に取り組むべきことがあったのではないか。それは、なぜか、どこかに消えてしまった記録と記憶を再生することである。

ふるさと納税の改革 連載193回

ふるさと納税の勢いが止まらない。17年7月4日に総務省が公表した「ふるさと納税に関する現況調査結果」(以下「現況調査結果」)によれば、16年度の受入総額は2844.1億円にのぼる。一方、ふるさと納税の現状については数多くの問題点が指摘されてきた。そのうちの一つが、ふるさと納税にかかわる情報提供の歪みである。通信販売サイトのようにモノがあふれる画面に違和感を抱き続けてきた。返礼品という一面だけをPRする狂騒に、夏だから冷や水を浴びせてもいいだろう。