メニュー 閉じる

旭川医科大学 2016年度AO入試

【復元合格答案例】本人開示結果146.7点/200点

我が国において、大気中等身の周りに発がん性物質が微量であっても含まれていることがわかってきた。この発がん性物質によって生涯のうちに亡くなるのは10万人に1人だとされ、これが基準値となっている。では、どのようにしてこの基準値は定められるのだろうか。
まず、第一の基準となるのは遺伝子を直接傷つけるかどうかである。遺伝子を傷つけるものであればその物質が次の世代へと受け継がれていってしまうからである。例えば、原子爆弾や産業廃棄物からの放射性物質は被爆した女性本人のみならず、生まれてきた子どもにも被害が出るということはよく言われていることである。
遺伝子を直接傷つけると想定された場合、第2に自ら体内に取り込まないように出来るかどうかである。遺伝毒性がある場合、安全とみなせる閾値が存在しない。そのため自ら体内への取り込みを阻止することが出来る場合は使用禁止にすることでリスクを逃れることにする。一方で、自ら体内へ取り込まないようにすることが困難なものもある。それが大気中や水道水に含まれるものである。これらは何らかの規定をもって、国民が安心して日常生活を送ることが出来るようにする必要があった。
そこで国民が安心して過ごせるような値が設定されるのである。その基盤となるものが他の危険と考えられている物質と比較して考えたり、基準値の設定時に実現が可能であると考えられる値である。さらに10万人に1人の確率での障害発がん率とは日本の人口とそれに対する発がんする可能性のある人とを比べてみても一般の国民には低確率に感じ、安心することが出来るだろう。このようにして、発がん性物質の基準値は人体に及ぼす影響や安心かつ実現可能かという観点などから決定されるのである。
しかし、この基準は必ずしも完全ではない。その理由として基準値はある程度のデータを基に決定されてはいても絶対にそうであるという科学的根拠がないからだ。さらに、一般の国民の中でその基準値を知ることで安心する人がいる一方で不安に感じる人も私を含めて存在する。そのような不安を解消するために、基準値設定の背景やその値の意味するものまで説明をしていく必要があると私は考える。