放射能汚染食品と情報公開

以下は、ずいぶん昔に、岩波ブックレット№125『情報公開はなぜ必要か』の冒頭に書いた文章を、そのまま転載します。自由人権協会編になっていますが、本文はほとんどボクが書きました。そのころは、原発事故が「対岸の火事」だったのですが…
なお、内容・数値の加筆・訂正はしてありません。当時のままなので、「古書」としてお読みください。

◆食卓にのぼった放射能
  チェルノブイリ原発の事故から2年以上もたちましたが、依然として食品の放射能(セシウム)汚染が続いています。そのため、食品を輸入するときに放射能(セシウム)汚染の検査が行なわれていますが、厚生省によると、検査を始めた1986年11月以降、ナッツ類、香辛料など7品目、34件の食品が基準値(370ベクレル)をオーバーして輸入禁止になっています。しかし、基準値を少しでも下回れば何のおとがめもなく輸入され、店頭にならび私たちの食卓の上にのぼるのです。
◆公表されない汚染値
  たびたび指摘されるように、この370ベクレルという基準値は決して「安全」基準ではなく、それ以下の食品を摂取した場合、私たちのからだに何も起こらないという保障はまったくありません。具体的にどういった影響があるかは、今まさに私たち一人一人がモルモットとして実験されている最中なのです。ですから、私たちとしてはなるべく放射能汚染の少ない食品を選択したいと考えます。ところが、厚生省は基準値以下の食品とその汚染値を公表していません。私たちには食品を選択するための判断材料がないのです(もっとも、放射能汚染だけでなく、農薬、添加物など様々な面から危険な輸入食品を選択しなければ良いのですが・・・)。
◆自治体はメーカー名を公表せず
  しかし、放射能汚染測定室のような市民グループが自主測定を行ない、その結果を公表して私たちに判断材料を提供してくれています。また、市民が気軽に食品を持ち込み、測定できるように、自治体に測定器の購入を求める請願・陳情が各地で相次いでいます。一方、自治体によってはすでに測定器を持っていて、それなりに食品の放射能汚染を検査しているところがあります。たとえば、神奈川県では県衛生研究所がこれを持っていて、チーズ、ジャム類、香辛料、穀類等の放射能汚染を86、87年度と検査しています。その結果を載せた一覧表は、私たちが見たければ県内の保健所でくれます。しかし、そこに載っているのは品名、原産国、輸入年月日、(検出)結果などで、それぞれの食品のメーカー名は公表されていません。同じように測定器を持っている東京都でも同じような扱いになっています。
◆私たちは本当に知らされているのか
  この放射能汚染食品の問題ひとつとっても、知ることの大切さ、そしてそれにもかかわらず知らされていない現状がよくわかると思います。このほかにも、インフルエンザの有効性、安全性に関する資料がこっそりと書きかえられたり、莫大な額の海外援助の使いみちやその有効性が公開されなかったりなど、政府による情報隠しは数多くあります。そうした情報隠しによって私たちの健康が損なわれ、時には命を奪われることもあります。また、私たちが払った税金がムダに使われないようチェックすることも困難になっています。
  ファッション、グルメ、レジャーなどなど、いま私たちのまわりには様々な「情報」があふれています。しかし、私たちは本当に何でも知っているのでしょうか?
よく考えてみると、私たちが安全で快適な生活をしていくうえで欠かせない情報や主権者として政策に参加したり、意見を言っていくために必要な情報はけっこう知らされていないことに気づきます。特に、それらの情報を私たちが知ることが企業や政府にとって都合の悪いような場合、それらの情報は「秘密」にことがとても多いのです。

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